今年、自らのブログを最大限生かし、RQに名乗りを上げたコがいる。それが「triple-a・でちゃう！ガールズ」の黒沢美怜だ。彼女のブログを最初に見たのは昨年の夏ごろ。仕事柄、若手タレントのブログは頻繁にチェックしているが、彼女のブログは衝撃だった。最初に飛び込んできたのが「みれにゃんのヘッポコまいにち」という自虐的なタイトル。次に「ほにゃほにゃ猫むすめ黒沢美怜でしゅ」と痛い自己紹介が続く。記事は「みれにゃん語」と名づけられた独自の言い回しで綴られ、併載されている写メは大半が変顔。完全にキャラクターを作り上げていた。

 

 

PHOTO/TAKANORI YAZAWA

↑みれにゃんぽーずは、こんなかんじかにゃぁ？

 

 

 

だが、この程度は若手タレントにありがちな演出。矢沢が注目したのは、記事に付けられているコメント数だ。多い時で70件以上。少ない時でも20件を下回らない。これはトップアイドル並み。彼女の知名度では考え難いものだった。それと、時々載せられている撮影会の写真も彼女への興味を増幅させた。愁いを帯びた瞳でと遠くを見つめたり、クールな表情でカッコよく決めてみたり。ブログから伝わってくるキャラクターとはかけ離れたものだった。「このコ、奥が深いかも……」そう思い始めた時から、黒沢美怜を観察しない訳にはいかなくなった。

 

それから間もなく、彼女を撮影する機会を得る。キャラクターを見極めるには絶好の機会だ。スタジオで顔を合わせた彼女は、早々に「今日は私なんかのために、本当にありがとうございましゅ」と、ブログのイメージそのまま。ところが、撮影を始めた瞬間、一気に世界が変わった。クールな表情とカッコいいポージング。まるでファッションモデルのようだ。「どっちが本当の黒沢美怜なんだ？」困惑しながらも撮った写真を見せると「髪ちょっと重いですね。半分後ろにやります」「スカート丈、もう少し短めの方が、足が長く見えますね」と客観的に自分を捉え、ベストを導き出そうとする。そのやりとりで確信した。本当の彼女は後者。黒沢美怜はセルフプロデュースの達人なのだ。

 

そして3月。RQに決まったと言う情報を耳にする。聞けば自らの意思でオーディションを受け、肩書きを手に入れたと言う。大手事務所に所属するがゆえ、過当競争の厳しさを実感しているのか、自らアクションを起こさないと何も始まらないことを自覚しているようだ。ブログのコメント数に関しても、自ら他人のブログに「ペタ」を付け存在アピール。そんな地道な営業活動が形になったようだ。

 

 

PHOTO/TAKANORI YAZAWA

↑ねこむすめ、RQをてがかり＆あしがかりにぶれーくするにゃーん！

 

 

RQになる前から既にファンを獲得している分、他の新人よりは圧倒的に優位。RQになったことで彼女の知名度も高まっていくことだろう。ただ、矢沢が一つだけ危惧することは、キャラクターを作り上げ、無名な頃から熱心なファンに支えられて来たコは、息の長い活動ができる一方、ファン層が広がらないという傾向が見られる。人気RQと呼ばれたコの中にも、力量はありながらRQという枠から抜きん出ることができず、「お山の大将」で終わったコが少なからずいた。矢沢は黒沢美怜への期待度が高い分、そのレベルで終わらないで欲しいと切に願っている。今後、どのような道を歩んで行くのか！？観察はこれからも続く。

 

 

 

 

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